SUITS/スーツ

INTERVIEW 01

DOUG LIMAN パトリック・J・アダムス インタビュー

Q:マイクというキャラクターの第一印象は?

マイクについて一番ひらめきを感じたのは、ずっと目指していたものをついに目の前にして、人 生の決断の瞬間に出くわしたという設定だった。彼の決断に挑む姿勢に、僕は最も惹かれたんだ。
僕は、彼のその時の感情をできるだけ深く掘り下げたかった。なぜなら、僕自身の人生を振り返ってみて、やりたいと思っていたことに直面してもそれをやらなかったり、あきらめざるを得ないような行動に出たりしてきたからね。だから僕にとってこのドラマに出演する過程は、マイクの状況同様大きな前進だった。今までより、もう少ししっかりと人生をつかむ方法を見つけたんだ。そう、僕はこのドラマのそんな部分に一瞬で惹かれたね。

Q:役作りはどのようにされましたか?

まずは何人かの弁護士の友達と話をした。そして、アソシエイトの仕事、1年目にはどんな仕事が待っているかを調べた。でも、そのあとに思ったんだ。これは訴訟に関するドラマじゃないってね。
このドラマで、彼が弁護士であることは重要じゃない。たまたまドラマが弁護士の世界で展開されるだけだ。ドラマを引っ張るのは、キャラクターだ。繰り返しになるけれど、僕がこのドラマに惹かれた理由は、マイクが恐れに立ち向かっている男だという設定だったんだ。
役作りの準備として【第1話】を撮るまでの数ヵ月間で僕がやり始めたことは、僕も、僕の人生でものごとに立ち向かってみることだった。例えば喫煙をやめた。オートバイの免許を取った。僕は、自分がこれまで避けていた事柄、やりたいのに心の準備が整ってなかった事柄をリストにしてみて、それをひとつひとつ達成し始めた。その過程で、それらの事柄に立ち向かう時の恐れとワクワク感が理解できて、ドラマでの僕の役どころについても理解できるようになったんだ。

Q:マイクの嘘がいつどのようにバレるか、知らされているのですか?

いや、全く知らされていない。嘘がドラマの大きな部分を占めていることは明らかだから、脚本家たちにとって大きな問題だよね。このドラマは、秘密がバレるかどうかの張り詰めた空気があってこそなんだ。
僕にとっては、この秘密があるからいい。おかげでオフィスでは心から気が休まる時がないんだ。
ある環境に長くいて仲間と一緒に仕事をすればするほど、その場に慣れていくものだけど、僕は違う。このドラマがいいのは、オフィスで居心地の悪い男が主人公だからだ。自分がよそ者だと感じる恐ろしい巨大な場所で、頑張って前進しようとしている。もし秘密がなくなれば、僕はオフィスが居心地よくなってしまうだろう。でも、オフィスには様々な人がいて、僕の仕事を邪魔したいと思う奴もいるかもしれない。だから、秘密がバレたら僕らは窮地に立たされるんだ。

Q:マイクはこの仕事を続けようとしているのでしょうか?それとも迷い続けるのでしょうか?

恐らく迷い続けるだろうね。みんながこのドラマに夢中になる理由のひとつは・・・みんなが夢中になってくれるといいんだけど、マイクが立たされている状況に共感できるからだと思うんだ。何かに挑戦して、でも同時に迷い続ける。以前の方が人生ラクだったと気づく。僕にとってタフな状況で僕は…マイクはしょっちゅうジャンプしなくちゃならない。毎エピソードだ。そして、まともに足から着地できるとは限らない。失敗をするたびに、マイクは、以前の世界へ戻ろうかと迷うことになると思う。彼には、常に後ろ髪を引かれる昔の生活があるんだ。親友もいる。その親友のせいでいつも災難に見舞われるが、でもやっぱりそいつのことを大切に思っている。それにジェニーもいる。彼にはかつての生活があって、その世界へ引き戻されそうになっている。
それに、今の世界に完璧に取り込まれたくはないという思いもあるんだ。ハーヴィーにとって大事なのは、勝つことだけだから。マイクがこの大企業でやっていくためにすべきことが1つあるとしたら、それは彼が、彼自身として仕事をするということだ。他の誰かのようになるのではない。他の誰かと同じになったらすべて終わりだ。

Q:マイクとハーヴィーの関係についてどう思いますか?

ハーヴィーがマイクに学ぶべきことはたくさんあるのに、ハーヴィーにとって、マイクから学ぶという行為は受け入れがたい・・・僕は、これがドラマのコメディ要素に繋がっていると思う。たとえマイクが正しくても、ハーヴィーは、さも自分が正しいかのようにものごとを捻じ曲げてしまう。ハーヴィーは敏腕弁護士だからそれができるんだ。そして常に、自分が正しいと主張できる位置に座っちゃうんだよね。
でも、マイクがハーヴィーを助ける時ももちろんある。そこがこのドラマの面白いところだ。大抵は誰かが勝利者になる。テレビはいつも一番を勝ち得た勝利者を映す。そういう意味で、このドラマは新鮮だ。2人の男のやり取りが、僕に、常に勝つ必要はないと気づかせてくれる。マイクは、自分が知らなかったり理解できないあらゆることに食いついていく。彼にとっては勝敗が問題ではなく、その勝負をどう戦うか、同じ失敗を二度と繰り返さぬようそこから何を学ぶかが大事なんだ。

Q:マイクにロマンスはあるでしょうか?

たくさんあると思うよ。レイチェルとは明らかに特別な関係ができつつあるし、親密にもなってきている。最初は友達だったけど、恋愛に発展するのも時間の問題だと思う。でも親友の恋人のジェニーとも、とても親密で大切な関係が存在する。これからたくさんの出来事が起こりそうなんだ。だから、ドラマが進むにつれ、僕は選択をすることになると思う。恋愛について言えるのはこれぐらいかな?